「春が来た」と題してあっという間に過ぎて行った3月を総括している。前回はビザの延長ができたこととトーマスとクラスが別れて寂しくなったことを思い出した。
東憲司さんという劇作家がいらっしゃるが、最近岸田戯曲賞の最終候補にも挙っている方だ。名前は知っていたのだけど面識はなくて、その東さんが二月の末からソウルに滞在していると聞いた。「アジア演出家フェスティバル」という企画で韓国人の俳優と舞台をつくるのだという。こちらにお世話になっている方の紹介で稽古場におじゃましたり夕食をごいっしょしたりとできることになった。
驚いたのが福岡出身だとは聞いていたのだけど、
同じ高校の先輩にあたると判明したこと。年は10近く離れているので直接の先輩後輩にはならないけれど、急に親近感がお互いにわいて東さんも初対面なのにとても優しく接してくれた。
一番上の写真がその公演「骨唄」の終演後の写真。舞台のあちこちと奥にたくさんあるのは1,000個近くの風車だ。稽古を見せてもらうときもただ見せてもらうのもなんなので、ずっと風車づくりを手伝いながら拝見していた。東さんは韓国語を話さないので役者との会話は通訳の方を介してなされる。そのやり取りをじっと見ていた。ダイレクトに会話ができないからこそ日韓の演劇感の差がくっきりと浮かび上がってとても興味深い。とても有意義な時間だった。
そして今度は自分の番だ。拙作「折り紙気分」を韓国西南部にある光州(カンジュ)という街とソウルで上演。京都からいつものように
みらいの会のメンバーがやってきて上演してくれた。もちろんわたし自身が演出することはできないので今回はt
3heater時代からいっしょに舞台をやっている藤本隆志に演出をお願いした。この台本は韓国語訳をつくったのだけど稽古の時間が足りないというので上演自体は日本語で。上演前後にそれぞれ韓国語の説明なんかを入れるのだけど、字幕もなく外国語のままの台詞は観客にとってはしんどいだろうと思われる。それでもどの会場でも暖かい拍手がたくさん送られていたのでホッとした。メンバーもがんばってたし。
それで、久しぶりにみらいの会のメンバーや、藤本さんにも会うことができてそれも嬉しいことで、特に藤本さんとは帰国後の下鴨車窓のことを打ち合わせしなければならなくてとても助かった。それにしても藤本さんは韓国の空港に着くやいなやバスに乗り換え直接光州へ向かうというこで、わたしが出迎えていっしょに行ったのだけど、初めての韓国でソウルに行かず光州というのもまた珍しい。しかし光州に行って、ここは韓国のなかでも「広域市」と指定された大都市のひとつなのだが、「ソウルとそれ以外の街」の差というのが歴然でそれを改めて思い知らされた。つまり韓国は極端にソウルへすべてが集中しているということだ。ソウルの街にはない韓国というのがある。北朝鮮の国境を見に行ったときにも感じたことだがやはり旅に出なければと思った。
つづく
コメントどうもです。すっかり暖かくなりましたね。逃避行でも「逃」がない避行でも随時受け入れ中です。公演終わって時間ができたらいつでもどうぞ。
>中瀬宏之さん
コメントありがとうございます。ぜひいらっしゃってください。中瀬さんが喜んでもらえそうな場所がたくさんあります。
先日は、コメントありがとうございました。
遅ればせながら、韓国公演の無事終了、何よりでした。
(できれば、田辺さんがそちらにいる間に、韓国を訪問したいと思っているのですが…)
帰国後の公演も楽しみにしております。
田辺さん、そちらでまた色んな経験を積まれてらっしゃいますね。「やはり旅をしなければ」というくくり。私からすれば既に旅に出ている田辺さんなのに…堪らなく羨ましい。そしてその探求心相変わらず尊敬しちゃいます。ますます逃避行したくなりました(笑)。『逃』ではいけませんね。